地域のプロフェッショナルと子どもたちの学びを創る。新田学園5年生「ジャンボカボチャ作り」

2021年4月30日(金)、宮崎県新富町の新田(にゅうた)学園5年生の授業で、ジャンボカボチャの定植を行いました。地域のプロフェッショナルな大人たちの指導のもと、より大きなジャンボカボチャづくりに挑戦します。その目標設定から実際に育て、お披露目する過程において、どんな学びがあるのでしょうか。こゆ財団教育イノベーション推進専門官・中山が授業を設計し、観光チーム・鈴木&岡田が地域と学校をつなぎます。

最終目的は「こゆ朝市会場でジャンボカボチャをお披露目する」

新田学園5年生の教室で、まずはこゆ財団・鈴木が今回の目標を伝えます。
「収穫後、5年目を迎えるこゆ朝市の会場にジャンボカボチャを展示して、みんなにお披露目しましょう!」

こゆ財団・中山は子どもたちに問いかけます。
「どんな場所に、どんな風に展示するといいかな?」
数人グループで話し合った子どもたちは、
「これは何なのか、紹介するものを付けて展示する」
「くり抜いて顔にして、ハロウィンの飾り風に」
「中をくり抜いてライトやキャンドルを入れる」
と、いろんな意見が生まれました。

実は昨年度、地域の大人とこゆ財団、学園の先生が一緒になり、学園の花壇でジャンボカボチャを栽培しました。最大サイズで21kgのジャンボカボチャができたのですが、地域の愛好者の会「横江ジャンボカボチャクラブ」の記録は85.4kg!(同クラブの過去最高重量は130kg)。どうしたらそんなに大きなジャンボカボチャが作れるのでしょう。

▲横江ジャンボカボチャクラブの昨年の作品

…ということで、今年度は子どもたちと一緒にチャレンジ! 授業として取り組み、学び多い時間にしようということになったのです。

「どうしたら大きなカボチャができるだろうか? 考えて、自分の予想を紙に書いてください」
まずは子どもたちが自分なりに仮説を立てて、今日の講師から話を聞きます。

【地域の先生①】野菜作りのプロ・緒方利幸さん

定植の前に、地域にいらっしゃるプロフェッショナルな大人2人に、ジャンボカボチャ作りに関するお話をお願いしました。

まず最初に、新富町の伝統や農業に関して広く知識をお持ちの緒方利幸さん。昨年度もジャンボカボチャ作りを先導してくださったプロフェッショナルです。
「本葉が15枚目のところに咲いた雌花を受粉させます。カボチャのツルがしっかり育ってからでないと、大きな実をつくることはできませんからね」
子どもたちの前に立ち、ジャンボカボチャの苗を見せながら、土づくりや苗の扱い方、水やりのポイントなど、わかりやすい言葉を選んで話してくださいます。

今回植える苗は、アトランティックジャイアントという品種。同クラブが長年の経験から選んだ苗で、食用には向かないのだとか。
「食べられないのは、毒があるのですか?」
と子どもから質問がありましたが、緒方さんからは、「毒はないが、おいしくない」との回答。また、
「受粉って何ですか?」
という声には、緒方さんからの説明の後、中山が
「皆さんの理科の教科書に出てくる内容ですので、後でぜひ見てみてください」
と付け加えました。

【地域の先生②】いのちの循環を伝える松浦牧場・松浦千博さん


1週間ほど前に、乳牛を飼育する松浦牧場から堆肥をいただき、定食する畑の土にたっぷりと混ぜ込みました。松浦さんの牧場では“命の循環”を意識した牧場経営をしており、SDGsにつながる話をしてほしいと、こゆ財団から事前にお願いをしていました。

松浦さんが子どもたちのために準備したスライドをスクリーンに映しながら話してくれたのは、「命のめぐりとわたしたちの話」。私たちは牛乳(命)を牛からいただいていること、牛の糞尿を集めて発酵させ、堆肥にして牧草作りや野菜作りの肥料に使っていることなどを、わかりやすく教えてくれました。
牛も私たちも、同じ命の循環の中にいます。松浦さんは命を循環させながら経済活動を営み、持続可能な農業・まちづくりを目指しています。

この日実際に、堆肥を持ってきてくれた松浦さん。袋に入った堆肥を子どもたちに回し、匂いを嗅いでもらいました。
「あれ、臭くない!」
「うちのビニールハウスの中と同じにおい〜」
牛を育てながら堆肥を作り牧草を育て、干し草を牛に食べさせて…という循環の中で、松浦牧場で生産される牛乳は1日に牛乳約2トン(給食のパック牛乳1万本分)!「命の循環」を子どもや親世代に伝えたいと、普段から牧場体験も実施しています。

「牛のうんちは手作業で集めるのですか?」
「いいえ。牛舎にはベルトコンベアがあって、自動で集められるようになっています」

最後に、緒方さんから貴重な情報が付け加えられました。
「松浦さんの牛乳は絞ったそのままの牛乳だから、スプレーで吹きかけたら野菜の害虫アブラムシ退治ができるんですよ!」

農薬じゃなくて牛乳で害虫防除ができるなら、野菜や環境、人間にもやさしいですね。まさにSDGsにつながる、素晴らしいお話でした。

GIGAスクールらしく、記録はタブレットで。
外に出て、ジャンボカボチャの苗を定植


ジャンボカボチャを育てる畑は、校舎南側の日当たりの良い場所。
子どもたちは畑の周りに集合しています。
この4月から1人1台タブレット端末の使用が始まり、子どもたちは全員タブレットを手にしています。

「土を触ってみてください。先週松浦さんの堆肥を混ぜ込んでいるのでふかふかしていますね」
植える苗は3つ。全員で緒方さんの説明を聞きながら、クラスの代表者が丁寧に植えていきました。

植物は太陽に向かって伸びるため、定植する位置は南側を広く空けて。
小さな雑草を丁寧に取り除き、畑の表面を覆ったマルチに穴をあけて土を掘ります。苗を傷めないようにそっと取り出し、穴に入れて土で隙間を埋めます。
少量の液肥を入れた水を穴のフチからそっとかけ、苗を守るように支柱を立てれば定植完了。その様子をそれぞれタブレットで写真に収めながら、子どもたちはこれから育てるジャンボカボチャの成長を楽しみにしている様子でした。

▲協力してくださった地域の先生たちに、みんなでお礼を伝えました

子どもたちのジャンボカボチャ作り
地域の文化として根付くことを期待!

2時間通しのジャンボカボチャ定植の授業が終わり、教室で振り返りとこれからの話を伝え、学校を後にするこゆ財団スタッフ一同。昨年の経験を生かしながら、子どもたちとどんな学びを得られるか、今から非常に楽しみにしています。

地域の大人がチャレンジするジャンボカボチャ作りを、毎年小学5年生が取り組んで歴代順位を競いあったり…そんな未来の光景を想像し、ワクワクしながら帰途につきました。

最終発表の場は、こゆ財団主催の「こゆ夜市」会場!
子どもたちの学びと成長をサポートできたら、うれしい限りです。


▲昨年の新田学園での収穫の様子。今年はどんなジャンボカボチャが収穫できるでしょうか。

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