オンラインからフィールドワークへ、本物の地域と仲間に出会った!|ローカルシフトアカデミーフィールドワーク(第3講座)

新型コロナウィルスにより、一変した私たちの生活。リモートワークという働き方ができるようになったことで、この場所に「住みたい」というよりは、この場所に住まないと「仕事ができなかった」のだと気がつき、自分自身の生き方や働き方について、考える方も多いのではないでしょうか。

 地方への移住に関心を持つ人々は増えましたが、実際に移住するハードルは高く、「仕事がない」「生活が不便だと思う」など首都圏とのギャップで悩んでいます。地域にある仕事や人材、娯楽などが少ないのは事実。しかし逆にいえば、そこに多くの可能性が秘められ、「ないなら自分で仕事を作ればいいじゃない!」というのが、私たちの考えだ。

 ローカルシフトアカデミーは、地域で仕事をつくる上で必要な“起業家精神”を養うスクール。大事なのは、自分らしく、ありのままでいられ、自分がワクワクし続けること。そんな「新しい自分」を求める受講生とは、これまでオンラインでの講座や対話を続けてきました。第3回目の講座となった10月3日・4日、ついに受講生たちが新富町にやってきた!

フィールドワーク1日目:新富町を感じる

3日の午前11時30分。電車や車で、続々と受講生たちが日向新富駅に集まってきました。オンラインで何度も顔を合わせているとはいえ、メンバー同士がリアルで出会うのは今日が初めてです。

こゆ財団の活動拠点「チャレンジフィールド」へ移動、アイスブレイクや執行理事の高橋邦男さんからの財団の説明を受けたり、ランチでこゆカフェの野菜がたっぷり入ったロコモコ丼を食べたりしているうちに、少しずつ緊張感がほぐれていきます。

 

こゆ財団の活動内容や、地方での可能性について語る執行理事の高橋さん

 

小さな町で商売をするとは?等身大の事業者の声

この日は、新富町で新しい挑戦をし続ける地域起業家とのディスカッションが2回用意されていました。1回目は、新富町で代々酒屋を営む伊藤酒店の5代目店主・伊藤寛人さんと、地域おこし協力隊として生まれ故郷に戻り、メキシカン&ワインバーを開いた河野大樹さんです。

伊藤寛人さん(右)と河野大樹さん(左)。仕事について率直な気持ちを伝えてくれました。

 

今年6月に新富町産のお米で作った甘酒「稲蔵」を発売するなど、精力的に商品開発に取り組む伊藤さん。稲蔵を作ったのは、「地元のもので地元に恩返しをしたい」という思いだけでなく、農家からお米を通常価格より少し高めに購入することで「お米が安い」という地域課題の解決にもつなげたかったからでした。

新富町は面白いものがないと思って一度東京へ出た、という河野さんは、「それなら自分が新富にないものをやろう」と、他の地域おこし協力隊とメキシカン&ワインバーを開いたそう。人口が多い首都圏とは違う事業の難しさに直面しながらも、店を開いて終わりではなく、「次へつなげる」ことを意識して今後の事業展開も考えています。

リアルな地方の事業者の声、そして「新聞社とは仲良くなるべし!」という伊藤さんのありがたいお言葉を胸に、2回目のディスカッションへ。

小さな町から世界を見据えることもできる

廃業した地域の大手スーパーを改装した、農業専門のコワーキングスペース「アグリバレー」で出迎えてくれたのは、農業用収穫ロボットの開発をしている「AGRIST(アグリスト)」取締役の高橋慶彦さんと、着ぐるみ制作を手がける「KIGURUMI.BIZ(キグルミビズ)」代表取締役の加納ひろみさんです。

 

高橋さんが手がけるロボットの一番の特徴は、農家と共同開発していること。これまでのロボットは「価格が高くてもより多く収穫できる」ことが重要視されていましたが、高橋さんは「全体の20%だけ収穫できればいいから安く作って欲しい」という農家の声を反映したロボットを制作しています。将来はこのロボットで世界の食糧問題を解決していきたい、という大きな展望を語ってくださいました。

「農業ロボットなど、人に役立つ技術に彩りをつけたい」と語る加納さんは、着ぐるみに限らずアートで町の活性化に貢献したいと考えています。その際に大事にしているモットーが「向こう側の笑顔とこちら側の笑顔」。かつて職場環境の悪さから多くの従業員が離職した経験から、商品を見たお客さんだけでなく、作り手も幸せであることが、今後の社会のスタンダードになってほしいと語っていました。

他の地域や国にもあるはずの課題を、この小さな町のイノベーションから解決・変化させていこうとする二人の熱意に、受講生たちは感心していました。


高橋慶彦さん(右)はオリジナルTシャツを着て登場。加納さんとともに会場を笑いに包みながら話してくれました。

 

目の前が自衛隊!?爆音緑茶とは?

その後、航空自衛隊基地の目の前にあるお茶屋「夢茶房」をたずね、代表の安積一仁さんには、茶畑や工場を案内してもらいました。宮崎が実は全国4位のお茶どころであること、生葉をじっくりと蒸すことでお茶の味を最大限に引き出す「深蒸し茶」を生み出していることなどを、ユーモア満載に語ってくれました。

茶葉の摘み方から、蒸す・揉む・乾燥といった工程まで、詳細に教えてくださいました。

 

他にも、一棟貸しの高級宿「茶心(ちゃしん)」や、国指定天然記念物の梅「座論梅(ざろんばい)」、建設中のサッカースタジアムなどを見学したあと、宿(民宿初音)に到着しました。

本日の締めとなるワークショップで、自分がこれまでの人生でワクワクしたことやターニングポイントなどを書き出し、自身を見つめ直していました。

地元の食材を使った美味しい食事のあとは、受講生同士で夜中の2時まで話し込んだそうです。

 

フィールドワーク2日目:地域ビジネスを考えよう

気付きを書き出して、アイデアの種を見つけよう!

富田浜で朝日とともに清々しい朝を迎えた受講生たち。2日目はいよいよ、自分たちのビジネスプランの種を探していきます。

 

5~6人ずつのグループに分かれてブレインストーミングを行い、1日目で見聞きした内容から、自分が気づいたことや地域の課題を出し合います。そしてその気付きや課題と、自分のワクワクすることをかけ合わせ、「こんな事業ができるのでは?」というたたき台を作るのです。多少強引な内容だとしても、これはビジネスプランを計画する練習なのでOK!

どんどん付箋に気づいたことを書き出していきます。数をたくさん出していくことが大切です。

 

コロナ禍のため、開放感がある場所が久しぶりだったという受講生たち。改めて自然豊かな地方の魅力を知るとともに、「リアルな声を聞けて参考になる」「地方にはまだまだ可能性があると思った」など、たくさんの刺激を受けたようです。

受講生たちのビジネスプラン最終発表は、12月13日(日)に東京で行われる予定です。どんな事業が飛び出すのか、今から楽しみですね!

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