農業の未来を語る配信場所は、ビニールハウスに囲まれた小さなラボだった!〜『第3回しんとみ発見 学びフロンティア塾(こゆ いろは塾)』開催〜

コロナ禍でも町民に学びの場を、とスタートした新富町のオンライン生涯学習講座『しんとみ発見 学びフロンティア塾』。2020年10月6日に開催された第3回のゲスト講師は、スマート農業を推進する先進的ピーマン農家・福山 望さん(福山農園)です。
地元スタートアップ企業とともに収穫ロボット開発に取り組む福山さんが、描く農業の未来とは? ビニールハウスからのライブ配信、開発中の収穫ロボットもオンラインで見ることができた貴重な時間となりました。

父の背中を見ながら就農を決意
農業課題の解決にロボットは必要不可欠

この日は、立ち並ぶビニールハウスに隣接する、ロボット開発ラボを発信拠点に、オンライン生涯学習講座を開催。福山さんは中学時代から将来にわたる時間軸で、自身が実践し、またこれから目指す農業についてお話しくださいました。

●父親の先見の明
福山さんは幼少時代から父・三義さんのもと、「農業は楽しいぞ」と刷り込まれて(本人談)、中学生の頃には就農を決意。その頃父よりパソコンを与えられ(当時では非常に珍しいこと!)、独学でパソコン技術を身につけました。三義さん自身もハウスの自動開閉機を企業と開発した人物で、ロボティクスに長け、固定概念にとらわれない福山さんの生き方・考え方はまさに父譲りと言えそうです。

●農業の課題解決にはロボットしかない!
「雨が降ると運動会から農家が消える、そう言われていた」
天気・気温の変化に合わせて、常に作物の管理に追われていたこれまでの農家さん。

省力化・効率化をもとめて福山さんが取り組んできたアグリテック(農業×テクノロジー)では、温度・湿度管理、自動灌水、二酸化炭素のコントロールなど、県内でも先駆けてビニールハウスでの統合環境制御を実践してきました。それでも人手不足の解消には至りません。やはり収穫ロボットしかない、と考えていたそうです。

●エンジニアに求めた「安価で未完成なロボ」
転機が訪れたのは、地域商社「こゆ財団」が紹介してくれた、北九州のベンチャー企業との出会い。新富町のスタートアップ企業AGRIST誕生のきっかけとなり、福山さんはそのエンジニアと密に意見を交わしあい開発に向けて伴走することに。

▲吊り下げ式の収穫ロボットの説明をする福山さん

農業課題は待ったなしの状態。そこで目指したのは、
「機能は最小限、未完成で安価な収穫ロボット」。
その結果、「吊り下げ式」というこれまでにない収穫ロボットを、スタートから半年でプロトタイプまで完成させました。

これからの農業課題を解決する「切り札」になり得る!
そう確信した福山さんたち農家とエンジニアが一体となり、実装段階にまで至っています。

AGRIST株式会社HP

「個人で大規模農業」
スマート農業の力で実現

やればできる
やらないと始まらない
考えれば自ずと道は開く

この信念で突き進む福山さんは、失敗も成功もどちらも想定して動くことで大失敗はしない、とも話します。

農業の未来については、「二分化する」と分析します。
個人での小規模農業と、大企業や農業法人などによる大規模農業に二分化するなかで、守りに徹した個人経営では成り立たないと判断。福山さんは、「個人で大規模農業」を実現するために、スマート農業に可能性を感じて着手しているのだそうです。

「海外産のものを買うことは、お金を国外に流すこと。
コロナ禍で厳しいこともあるが、国内産・地域産を消費して、
みんなが豊かに暮らせる地域を実現しましょう」
と、消費者へのメッセージを添えて締めくくりました。

ビニールハウスからライブ配信
受講者からの質問にも対応

休憩をはさんだら、ラボから外に出てライブ配信タイム。ほんの数歩でビニールハウスという、ロボット開発ラボの近さには改めて驚きます。

すっきりと整備され天井の高いハウス内には、収穫が始まったピーマン圃場が一面に広がります。
収穫ロボットを実装した場合の動き、吊り下げ式が最適な理由等々。
実際の圃場に身を置きながら繰り広げる、聞き手のこゆ財団・中山と福山さんの会話が、受講者たちによりリアルに伝えます。

「ハウス内には糸がたくさん張られている。それでもロボットは収穫できるのか」
「葉っぱにかくれたピーマンもロボットは見つけるのか」
など、受講者からの質問も飛び出していました。

裏方に徹するこゆ財団
回を重ねるごとに学びも増える

本講座にICTサポートとして携わる、こゆ財団・中山は、回を重ねるごとにオンライン生涯学習講座が成熟した学びの場になりつつあることを実感しています。
それでも、毎回のように大なり小なりのトラブルはあるし、課題や気づきが得られます。
さまざまな配信場所から、平均70歳を想定しての学びの場づくりは、教育イノベーション推進をはかる中山の経験値を高める材料の宝庫かもしれません。

▲配信したロボット開発ラボ前にて。左からこゆ財団・中山、講師・福山さん、新富町教育委員会生涯学習課・石谷さん

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