いつもと違う環境なら二の手、三の手まで準備しよう〜『第2回しんとみ発見 学びフロンティア塾(こゆ いろは塾)』レポート〜

2020年9月15日(火)10:00〜、新富町のオンラインによる生涯学習講座『第2回しんとみ発見 学びフロンティア塾』が開催されました。こゆ財団からは、ICTサポート役として教育イノベーション推進専門官・中山 隆が参加しました。

2回目は西都市にある国の特別史跡・西都原古墳群のエリア内に建つ「宮崎県立西都原考古博物館」からの配信です。

※本講座は、令和2年度地方創生推進交付金事業「こゆ地域づくり推進機構2.0関係・交流人口拡大プロジェクト」における学び舎再生事業の一部(こゆいろは塾)です。

初回とはまた違った、少しの緊張感からスタート

今回の講師は、宮崎県立西都原考古博物館 主幹・松林豊樹さん(学芸普及担当)。
この講座において町外から配信するのは初。実はこの日、スタート時点で若干通信状況が悪い状況となり、現場に緊張感が走りましたが、そこはこゆ財団教育イノベーション推進専門官・中山の腕の見せ所。さすがの対応力で改善し、講座は無事にスタートしました。

▲受講者らにオンラインで挨拶をする松林さん

前回、第1回目の講座では新富町内の古墳を題材に、
1 古墳とは
2 古墳からわかること
を学びました。その続きとして、第2回は
3 西都・こゆ地域の主な古墳
4 南九州の古墳文化における西都・児湯地域の古墳
と、古墳について2回にわたっての講座開催です。

今回登場するのは、北隣りの高鍋町・川南町を流れる小丸川流域にある川南古墳群、持田古墳群。そして、昭和27年に国の特別史跡に指定された西都原古墳群です。

身近な古墳を題材に古の時代へタイムトリップ

古墳の形、大きさ、埋葬品、時代から読み解く古代の様子。講師の松林さんのアテンドにより、受講者は瞬く間に古代の世界へ。

小丸川左岸の「川南古墳群」(55基、現存49基)は、昭和4年頃に盗掘にあっていて資料が少ないのですが、古墳の全体数に対する前方後円墳の割合が高く、複数系列の首長がいたと考えられます。

小丸川右岸の「持田古墳群」(90基以上、現存85基)も同時期に盗掘にあったとか。こちらは前方後円墳の割合が低く、単一系列の首長であったと推察される…など、受講していると自分も考古学の世界に足を踏み入れたような…不思議な感覚になります。

そして、九州最大の前方後円墳を含む重要な古墳群・西都原古墳群。総数300基以上もあり、30基ほどを発掘調査しているので資料も多く、そこから語られる古代ロマンは実に壮大です。

「古墳の大きさや副葬品をみることで、畿内とのつながりの強さがわかります。
児湯・西都の特徴は、機内との関係を保ちながら、男狭穂塚・女狭穂塚がつくられた5世紀前半に勢力が強くなりました。その後勢力は別エリアに移動しましたが、祇園原で勢力を持ち返したように、一貫して日向国の中心地域であった、ということですね」(松林さん)。

▲松林さんが画面共有しながら詳しく説明をしました

埋葬品・レプリカの展示室からリアル配信

画面越しの座学の後は、博物館の核となる展示室から講座の続きを…。
講座内で登場した、実際の出土品やレプリカの展示物を見ながらの松林さんのお話を、カメラで追いながらリアル配信。こゆ財団・中山の質問によって、松林さんの知識はさらに引き出されます。

▲身近な古墳からの出土品とあって、興味関心がさらに湧きます

古墳の中をイメージしてつくられたという薄明かりの展示室で、輝く埋葬品の数々。いかに力のある豪族がこの地に居たのか、想像するだけでもワクワクします。

古墳を学びながら、タブレット端末の向こうに広がる古代ロマンに思いを馳せる時間。普段聞くことのない、調査時の様子や感想、それにまつわる苦労話や裏話もちりばめた講座は、第1回に続き素晴らしい内容となりました。

「畿内と関係が深かったこと、興味深い」と受講者

講座終了後、受講者代表の男性がお礼の言葉を述べました。

「古墳について詳しく知ることができました。先生は準備が大変だったことでしょう。
興味深く感じたのは、西都や児湯が畿内との関係が深かった、ということです。
今度は自分で実際に博物館に足を運ぼうと思います」。

▲「今後当館でもオンラインを活用したい」と話す、西都原考古博物館の松林さん

講座終了後、ほっと一息つく松林さんにインタビュー。

「参加者のお顔が見えないせいか、あまり緊張せずにできました(笑)。オンラインは参加したことはありましたが、話す方は初めて。今日の経験を参考に、当館でもオンラインを活用したイベントなどを開いていきたいです」
と、オンラインの良さを再確認された様子でした。

ICT機器のサポート等で伴走したこゆ財団・中山は、「前もって試していたにも関わらず、当日の予期せぬトラブルもオンラインではありがち。やはり二の手・三の手まで準備が必要ですね」と、今回も大切な経験と学びを得ることができました!

▲西都原考古博物館

※3回目の講座は10月6日(火)、新富町でスマート農業に取り組むピーマン農家の福山 望さんにご登壇いただきます。

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