2021年6月2日、宮崎県新富町立富田小学校で、6年生のキャリア教育『るぴなす学習』が行われました。これから1年を通して取り組み、ゴールとして「まちの未来を考える」をテーマにまとめ発表が行われる予定です。こゆ財団教育イノベーション推進専門官・中山は、この日外部講師として登壇。その問いかけの一つひとつに真剣に取り組みながら、子どもたちは新しい学びへの期待感を高めていたようです。
1人1台タブレット端末導入による教育ICT
取り組みの様子が伺えるスムーズなスタート
昨年度に続き、令和3年度も中山がキャリア教育に携わることとなった富田小学校。新築された真新しい講堂に、6年生108名が集まりました。筆記用具とタブレット端末をそれぞれが持参し、ステージのスクリーンでロイロノートの画面を映しつつスタートしました。
今年度4月から新富町では全ての小中学生に1人1台タブレット端末を配置。校内のすべての場所でネット環境が整い、パソコン室でモニターに向かっていた昨年までとは全く違った光景です。
中山「それではみなさん各自タブレットを立ち上げて、ロイロノートにログインしてください。『6年○○○○』を選び、新規ノートを立ち上げてください」
中山の声かけに、子どもたちはそれぞれに操作を始めます。戸惑っている人には周りが助けながら、スピーディーに完了しました。
グループで臨んだ「町のココが素敵!」探し
20個以上列挙したグループも!
中山による自己紹介の後、最初のワークがスタート。
「新富町のここが素敵だな!と思うところを、グループで話しながら書き出してください」
代表者が紙に書き、それを写真に撮って、ロイロノートのグループに投稿します。
スクリーンには次々に写真が上がり、子どもたちが手書きした新富の素敵ポイントが映し出されます。
その中には、「きらり(図書館)」「座論梅(名所)」「古墳」「富田浜」「野菜」「テゲバジャーロ宮崎(サッカーJ3クラブ)」など数々の町の魅力が書かれています。
一番多いグループはなんと20個以上も書いていました。
昨年誕生した「ユニリーバスタジアム新富」や町の新キャラクター「おとみちゃん」も、しっかりと挙げられていました。
調べたいもの「ひとつ」を決め、
学習したその先は?
いよいよ授業の核の部分に入っていきます。
中山「では、あなたは何に興味を持っていますか? 何に興味がありますか?」
それを考えていく前に、富田小学校で6年生を3年連続担当している鳥原先生に、中山が1対1で質問を投げかけます。
昨年の6年生がどんなものに興味を持って調べていたか、そこからどんなことに気づいたか。先生自身も初めて気づいたり、驚いたりしたことは? 等々。
中山「その結果、去年までの6年生たちはどう成長しましたか?」
鳥原先生「自分が調べたその一つのことについて、キラキラした目で熱弁できるようになりましたね〜」
調べたものが大好きになり、「行ってみて!」「食べてみて!」とその良さを訴える子どもたちの姿が見られるようになったとか。
中山「将来町の外に行った時、地元のことを聞かれる場面は結構あります。私は高鍋町出身ですが、当時あまり伝えられなかった。地元のことは知っていた方が絶対にいいと思いますよ」
子どもたちは、この学習を通して1年後の自分たちをイメージ。中山の体験談も聞き、それが将来役に立つのだということを理解したようです。
中山「さあみなさん、今度は今の時点で調べたいことは何ですか。1つだけ決めたら、ロイロノートの提出箱に、付箋に書いて提出してください」
インタビューは「勇気」も必要
魔法の言葉「なぜ?」をたくさん準備しよう
さっと決まる人、悩みながら書いている人、その様子はいろいろ。提出される付箋の色や文字の大きさなどもいろいろあって、それぞれの個性が輝いているようです。
「今度はペアワークです。ペアの人に、どうしてそれを調べたいのか『なぜ?』と聞いてください。『なぜ?』は魔法の言葉です」
交互に質問し合う子どもたち。なぜ?に対して、「それは〜だから」と自分の気持ちを確認していきます。「歴史を調べたい」「ライチを調べたい」と漠然と広く捉えている調べ学習の対象がより具体的になり絞られていきます。だから、『なぜ?』は魔法の言葉。
最後に、どう調べるか?を考えます。
「“インターネットで調べる”以外で一つ書いて、またロイロノート の提出箱に入れてください」
インターネット以外縛りに意表をつかれながらも、子どもたちからは「新聞」「本」「インタビュー」「アンケート」等々、これもまた個性豊かな付箋が集まりました。
中山が質問します。
「インタビューするときに持っていくものは?」
「メモ!」「えんぴつ」「…自分」「勇気?」と口々に反応する子どもたち。
中山「なるほど! インタビューするって緊張するよ。確かに勇気も必要だね。だから大事なのは『なぜ?』と質問する内容をちゃんと準備してから行くことです」
午後の2時間を使った中山の授業に、熱心に取り組んでくれた富田小6年生。地域を学び自身のキャリアを考える『るぴなす学習』の目的や手法をイメージしやすく伝えたことで、意欲をもってスタートしてくれるのではないでしょうか。ICTの力も活用しながら、子どもたちの興味対象は、これから無限に広がっていきます。