未来は自分で作るもの。小さな決断を一つずつ積み上げてチャレンジ!

農業の課題を解決すると、社会問題が解決する!「農業×ANY=Happy」という方程式のもと、農業とIT、農業とロボット、農業と教育という切り口で農業事業を推進しているエムスクエア・ラボの加藤百合子さん。そのユニークな経歴と活動から、新富町で走り始めた農業ロボットベンチャーへ贈るエールとは。こゆ財団・齋藤と語るオンライン対談です。

■開催:2020年9月9日(水) オンライン開催
■対談テーマ:農業ロボットの可能性と必要性
■オンライン動画コチラから
■ゲスト講師:加藤百合子 氏(株式会社エムスクエア・ラボ代表取締役)
■モデレーター:齋藤潤一(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事)

注目を集める自動収穫ロボット
地域課題の解消を目指す

地面を走らず、空中に張ったワイヤーを使ってロープウェイのように移動することでハウス内のピーマンを次々に自動で収穫していくロボットの開発が、宮崎県新富町で進行しています。新富町で起業したベンチャー企業の「AGRIST(アグリスト)」が手がけるロボットです。
AGRISTは、2020年の国のスマート農業実証プロジェクトに採択されたコンソーシアムの一員であるほか、「九州・山口ベンチャーマーケット」スタートアップ部門の大賞や「Forbes Rising Star Award」といった誉れある賞も次々と受賞し、注目を集めています。


▲新富町のベンチャーAGRISTが開発した自動収穫ロボット

こうした新富町での動きに関心を寄せるのが、農業ロボット開発の第一人者であるエムスクエア・ラボ代表取締役の加藤百合子さん。「小さな町で農業、技術、ベンチャーに関わる若い人材が動き始めていて、素晴らしい取り組みだなと思います」

齋藤:次世代に残す持続可能な社会を目指し、独自の解析技術と新たなビジネスを創造する加藤さんのエムスクエア・ラボでは、農業と何かを掛け合わせると社会問題が解決するという「農業×ANY=Happy」という方程式を掲げていますよね。

加藤:はい。私は東京大学農学部で農業システムの研究に携わり、英国グランフィールド大学で博士号取得、その後米国NASAのプロジェクトで宇宙ステーションにて植物生産をする研究に参画しました。帰国してキヤノンで産業用機械の研究開発に従事したのち、起業して農業の社会課題に取り組んでいます。学生の頃から将来の食糧危機を考えていて、何か動かなくてはという感じでした。

齋藤:起業して2年間は、農業者と話をしながら農業が抱える課題を共に考えたと聞きましたが?

加藤:たとえば、農家とスーパーのバイヤーとの間で数百万単位の取引をしているのに、何も契約書がなくて、今日は雨が降っているから、明日は納品しなくていい、というようなやりとりで済んでしまう。それが印象に残っていて、掘り下げていくきっかけになりました。

加藤さんはその後、「やさいバス」という農家と消費者をつなぐ流通も始めます。農業から地域の課題も解決するべく、こんがらかった糸くずを少しずつ解きほぐしていくように、あらゆる人脈やツールを使いながら進み始めます。

これから求められる
農業ロボットのありかた

現在は農業ロボットの研究開発から、流通、人材育成など多岐にわたって活動する加藤さんですが、農業ロボットの今後をどう考えているのでしょうか。

加藤:今後の農業ロボットに必要なことは、柔軟性、低価格、メンテナンスの簡便さの3つです。これを叶える設計思想でロボットや農業ITを作らないと実用化はされないと思っています。

齋藤:まさに使い手の発想ですね。地域の要望に柔軟に対応できるものが求められていますからね。アグリストが開発している自動収穫ロボットは、安くて、軽くて、動きやすくて、アフリカまで輸出が簡単にできるものにしたいと取り組んでいます。

チャレンジすることは楽しい
ぜひ、若者に情報を届ける努力を

そういう仕事を一緒にする人材やチームについて、加藤さんはこう語ります。

「利他」という考えのもと、思いを持った人が集まってくれること。そのためには発信し続けることが大事だと思っています。特に、学生にまで届く情報提供が大事ですね。チャレンジは本当に面白くて、人生を楽しくできるものだと若い人たちに伝えたい。若い頃からチャレンジを勧めるのは、やはり地域の教育なのかなと思います。

加藤さんは、「未来は見えていない。未来は作っている」と言います。想像する将来は仮説でしかなく、おぼろげな未来をみながら、小さな決断を繰り返す。自分自身は、自分が負えるリスクの上限みたいなものを決めることも大事。利他を追いすぎてリスクばかり増大しては自分が幸せになれないからです。

決断一つひとつを積み重ね、その成功体験が未来を作る。未来の大きな夢の実現を目指す新富町の農業も、一歩一歩あゆみを進めています。

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