笑顔→お金→笑顔という、笑顔とお金をバランスよく循環させるために商品化された除菌液ディスペンサー“emmyWash(エミーウォッシュ)”。技術や研究シーズを社会課題解決のタネとして、会社の枠を超えたつながりから生まれたソーシャルプロダクトでした!
※こゆ財団が首都圏で開催するソーシャルビジネスの起業家育成塾『宮崎ローカルシフトアカデミー』の説明会として行ったオンラインサロンです。
■開催:2020年8月18日(火)19:30〜21:00 オンライン開催
■タイトル:テクノロジー×経済でしあわせなまちづくり
■登壇者 ※敬称略
末吉隆彦
マイネム株式会社/クウジット株式会社 代表
https://www.emmywash.com/
クウジット代表取締役社長 兼 空実プロデューサー
https://www.koozyt.com/
1992年、ソニー株式会社入社。2005年、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)リサーチャー。2007年、ソニーCSL初のスピンアウト企業となるクウジット株式会社を設立、人工知能やデータ解析技術を活用した未来予測と因果分析を手掛ける。2015年、慶應義塾大学大学院SDM研究所研究員。
■モデレーター
稲田佑太朗
一般社団法人こゆ地域教育研究所 代表理事
https://www.facebook.com/koyulabo/
エミーとゼニーがバランスよく循環する社会を目指して
技術エンジニアとして長年腕を磨いてきた末吉さんが、ソニーCSL/東京大学暦本教授の研究を起点に取り組んだ社会課題解決のプロジェクトが着地したのは、「笑顔づくりの社会装置」とも言える除菌ディスペンサー“emmyWash”。
開発にあたり、慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生(幸福学)、同じく同大学院の保井俊之先生(地域イノベーション)とともに、「人を幸せにするお金(エミー&ゼニー)を創る」をテーマに研究活動をしました。
おカネ=貨幣は価値の交換だけでなく、約束(=信用)から発生したもので、人間の協調的行動を表現する方法でありシンボルであること。
人は笑顔をつくることで脳内に幸せホルモンが分泌され、幸せを感じること。
そんな貨幣論から幸せのメカニズムまでを掛け合わせて研究した結果、人が幸せであるために、まちが持続可能であるためには、エミー(笑顔)とゼニー(お金)のバランスがとれたまちづくり・企業づくりが必要だという結論に達しました。
emmyWashは、人の笑顔を感知すると除菌液が噴霧され、同時に1エミーをカウントします。貯まったエミー(除菌液の売り上げの一部)により教育機関など必要とされる場所へディスペンサー本体や除菌液を寄付して感染症対策に貢献します。そこでemmyWashが使用され笑顔が感知され…と、テクノロジーを活用して笑顔とお金が循環する、まさに社会装置なのです。
↓Local Dialogueプロジェクト 末吉さんレポート記事
チャレンジして気づくこと大きい
ビジョンの共有と「人対人」で、組織を超えたチームづくり
後半は視聴者からの質問をもとに、モデレーター・稲田が末吉さんに問いかけます。
Q.スタートはコロナ発生前。なぜ“除菌液”だったのですか?
末吉さん:「笑顔づくり×○○」でいろいろ検討したのですが、除菌液が一番反応がよかったですね。体験した人が笑顔になってくれました。コアバリューである「笑顔」はぶらさないで追究した結果です。
Q.技術を事業化するとき、どんなふうにシフトしていったのですか?
末吉さん:元々が技術者なもので、私が相手に提案に行くと「ちゃんと調理してもってこい!」と(笑)。周りに言わせれば「製品であって商品でない」そうで、その気づきは大きかったですね。多様な人・多様な価値観と出会うことで、使う人の目線で価値を付けることなど多くを学びました。
▲新富町「こゆ野菜カフェ」に設置したプロトタイプのemmyWash
Q.テクノロジーという未知の技術に対して、地域はハレーションを起こしませんか?
末吉さん:テクノロジーを前面に打ち出すとそうなる可能性があります。難しいものと捉えられないように、テクノロジーよりもユーザーが体感する利益の部分を前面に打ち出すことをおすすめします。
Q.会社の枠を超えたチームづくりで大切なことは?
末吉さん:その時の議題に対してビジョンを共有できているか、組織を超えた人対人で自分のアセット(資源、長所)を差し出せる関係になれるかどうかですね。
Q.資本主義で必須の「稼ぐ」より上位概念に「笑顔づくり」がある取り組み。どんな世界をつくっていきたいですか?
末吉さん:今の世の中、笑顔と感謝の気持ちが足りていないと思います。そこに笑顔をもたらし、エミーとゼニーがバランスよく大きく循環していく社会をつくり、持続可能にするために活動していきたいです。
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社会課題解決に向けてやってみる、やり続けることで道は開けていく。
そんなチャレンジャーが増えると、必ず社会は変わっていくのではないでしょうか。