完成されていないことで広がるお店づくり。移住からUターンを経た主婦の視点:永住美香さん

地域おこし協力隊の制度を利用し、10年100社1000人の雇用を目指す宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」。

新富町は、「世界一チャレンジしやすいまち」を目指す財団メンバーがチャレンジを止めないということはもちろん、移住者を含めた地元住民もチャレンジを繰り返すことで全国から注目される町の1つとなっている。

新富町の商店街で、飲食店未経験からKOYU CAFÉ(こゆカフェ)の店長をつとめる永住美香さん。

永住さんは、こゆ財団のメンバーとして人財育成を担当。多くの人と関わりながら共に学ぶ中で、「商店街にみんなが集まり、学び合える場がほしい」と考えるようになり、「KOYU CAFÉ」(こゆカフェ)プロジェクトに自ら参画。平成30年8月のオープン以降は店長としてお店を切り盛りしている。

新富町出身で県外への移住を経験。2年前にUターンし、15年ぶりに地元を見つめ直している永住さんに、町の様子やカフェの運営を通じて感じた課題、経営に対する考え方などを伺った。

本当の意味では見えていなかった地元

—新富町に戻ってこようと思ったきっかけは何ですか?

永住:ずっと地元に帰りたいという想いはあったんです。
新富町は、生まれ育った町だから落ち着くし、親や友人などもいるし。

25歳で結婚したのをきっかけに福岡で10年、沖縄で5年を過ごして、ようやく帰ってくることができました。

—15年ぶりに見た地元の様子はどうでしたか?

永住:正直、戻ってきたばかりの時は地元のことをよく見えていませんでした。
観光気分で地域を見ていたからかもしれません。

地元をよく知る機会になったのは、新富町役場で臨時職員として働くようになってから。
役場だからということもないかと思いますが、地域の良さはもちろんありますが、課題だと感じる点もあり、その様なものに触れる中で、私が出した答えは「もっと楽しいことがしたい」でした。

その時に働いていた部署の隣が観光協会で、後にこゆ財団の執行理事になる啓二(岡本)さんがいたんです。
啓二さんの想いや考え方に共感した私は、財団設立に際して声をかけていただき、財団に加わったという経緯があります。

新しいことをすることへの反応

—KOYU CAFÉ(こゆカフェ)を運営して感じることはありますか?

永住:やっぱり、どこでも同じことでしょうけど、良い声をいただくこともあれば指摘の声も寄せられます。

「新富の野菜がこんなに美味しいなんて思わなかった」なんてご意見もあれば、
「こんな料理じゃお年寄りが食べにくい」というようなご意見。

いろいろな声に耳を傾けながら、お店をどうしたらもっとよくできるか今も試行錯誤しています。

いまカフェがある場所は、以前は事務所があった場所。地元の人からすると、商店街のあの場所に飲食店があるなんて思いもしないのか、
ずっと外からお店の中の様子を眺めている方もいらっしゃるので、気にしてくれているのかなと感じます。

完成されていないことの楽しさ

—KOYU CAFÉの一番の魅力は何ですか?

永住:オープン当初から、「未経験でお店をするなんてすごいですね」なんて言われることもあったのですが、全然すごくないんですよ。

アルバイトの大学生、美南ちゃんと話をしながら店内のレイアウトをあれこれ試していますし、メニューも日々試行錯誤中。
美南ちゃんにとっては大変なこともあると思いますが、楽しんでやってくれているので、頼りにしています。
他にもなんだかんだで、いろんな人が助けてくれるんですよね(笑)

だからこの店の魅力は「完成されていないこと」だと思うんです。
これからみんなと一緒に作っていくお店。

—今後、どの様なことを大切にしていきたいですか?

永住:やっぱり、来てくれたお客さんに新富町の野菜の美味しさや、食の楽しさを感じてもらうことです。今後も軸になっていく部分なんじゃないかなって思います。

クリスマスには、ナイトシアターで「食」にちなんだイベントを企画したりしています。
とにかくお客さんはもちろん、働く私たちも楽しいって思えるお店にしていきたいです。

食を通じて、地域を活性化しようとする永住さん。
新富町には、それを支えてくれる多くの人がいる。

チャレンジする人を1人にしない新富町こゆ財団は、みんなで町を輝かせ、町の魅力を発信し続けている。

自分自身がワクワクする働き方を体現できる地域が増えることで、日本がもっと面白くなる。

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