【こゆソーシャルビジネススクール】第4回:「好き」を仕事の真ん中に。ストーリー性を大切に、味方を増やそう

ビジネスで地域課題を解決する起業家育成講座『こゆソーシャルビジネススクール2020』。第4回を担当する講師は、2020年7月に新富町へ移転したKIGURUMI.BIZ株式会社 代表取締役の加納ひろみさん。「どうやって決断する?」「事業や商品のファンづくりは?」など、受講生たちからの質問について愛情いっぱいに答えてくださいました。

【こゆソーシャルビジネススクール2020 第4回】
■講師:加納 ひろみ氏(KIGURUMI.BIZ株式会社 代表取締役)
著書『幸せな着ぐるみ工場 あたたかいキャラクターを生み続ける女子力の現場』(日本経済新聞出版社)
■開催日:2020年8月11日
※新型コロナウイルス感染予防のため、オンラインでの開催となりました。

コロナ禍の辛い日々を支えた
あるキャラクターの力

「新聞広告で見た、1枚の絵とコピー。
どんなエラい人の言葉より信じられた」

最近感動したことは?という受講生の質問に、こう答える加納さん。共有画面には1枚の新聞広告があり、そこには超有名キャラクターと短いコピーがありました。
「だいじょうぶ。未来は元気だよ。」


▲2020年4月29日、朝日新聞に出された広告を見ながら

2020年春、多くの人や企業と同じく新型コロナの不安に襲われていた加納さん。
この新聞広告の絵とコピーを見た時、どんな人の言葉より心が救われたと言います。それはまさに、ストーリーを持ったキャラクターの力。

「未来から来た、子どもの頃から大好きなこのキャラクターがそういうんだから、うん、大丈夫——。」

ストーリー性を大切に、味方を増やす

KIGURUMI.BIZも創業以来、様々なキャラクターを生み出したり着ぐるみの製作をしたりしています。
「私たちの着ぐるみ製作は、モノをつくるのではありません。
“命あるもの”をつくっているのです」

キャラクターに限らず、商品やサービスにはストーリー性が大切。商品の向こう側の人が何を求めているのかを見極め、デザイン=設計することが重要です。また、SNSが発達したとしても、伝えてくれるのは必ず「人」。味方をいかにたくさん集めるかということも事業を広げる大切な要素と言えます。


▲新富町の商店街をお散歩中に子どもとお話し。KIGURUMI.BIZのキャラクター、ビズベア(次男)

「好き」を仕事の真ん中に
欲しいと思ったら取りにいく!

受講生からの質問で多かったのが、「どのように決断するか?」。起業にあたり、皆さん決断に迷い判断に悩んでいるのでしょう。

正解かはわかりませんが…と前置きしつつ、
「欲しいか欲しくないか、好きか嫌いか。
仕事のチャンスも恋愛も、言ったもの勝ち!(笑)
とても欲しいと感じるもの(こと)を取りにいかないでいると、私はかえってドキドキしてしまいます」
と加納さん。

ソーシャルビジネスは社会課題解決という使命感のようなものがつきまといがちですが、そもそも「好き」という自分から溢れ出すエネルギーがなければ、事業は続けられません。
「自分の役割とか責任感を外して、好きか嫌いかを考えてみるといいですね」と進行役の稲田さんも言葉を添えます。

いい時、悪い時をどう乗り切るか?

とは言え、2020年春〜夏あたりは全く先の見えない展開。さすがに辛い状況が続いたと話す加納さん。自身の性格上、辛い思いを発信するのははばかられたし、言葉だけの強気な姿勢も取れませんでした。社員に不安な思いをさせないように、「とにかくだまってじっと耐えた」のだそうです。暖かい春を待つ植物のように。

イベントは中止、海外との取引も停止。その間、頼まれた医療関係品の製造などいつもとは違った仕事を請け負ったり、新規事業や別商品も考えたりしたとか。
そして気づいたのは、

「KIGURUMI.BIZがやるべきことは、私たちの普段の生活に“楽しさ”をアドオンすること。私たちは気づいてしまった。もう迷いはない。コロナに感謝ですね」


▲画面左上が加納ひろみさん

…やっぱりお金は大事!?

Q&Aを一旦終了し、ブレークアウトタイム。グループごとに感想をシェアして、さらに聞きたい質問を抽出します。

「ビジネスを動かすのはお金だけじゃない」
「チャンスを取りにいく時、決断の基準は儲かるかどうかではない」

講座を通して伝えられた加納さんの言葉に、「でもやっぱりお金は大事」との意見も。

「もちろんです。数字は常にみながら毎月試算しています。昨年はコロナで売上が全くなくなったとしたら…とか、最悪の場合もシミュレーションしていました」。

会社の資産やキャッシュを常に把握しながら、会社の形状に合わせて資産や人材を調整。失敗をしながらも、長年続けることで見えてきたやり方が加納さんにはあります。

また、「コロナ禍の2020年7月に移転。新富町の魅力は?」との質問も。
なぜこんな時に移転など…との声もあったけれど、
「楽しいことを楽しい人たちと楽しくやりたいから」
新富町役場やこゆ財団、新富町民など人の魅力が一番の理由。人が集まり、風が吹く新富町を、加納さんのアンテナはキャッチしたようです。

プレゼンテーションは2カ月後!

講座も残すはあと1回。そろそろ自身の事業プランを固め、10月10日のプレゼンテーションへ向けた準備も必要です。最後にお手本として受講生の屋宜直美さんに現時点での事業プランを発表してもらい、第4回の講座を締めくくりました。

さあ、残すは2カ月。スタートはそこから!

地域おこし協力隊の関連記事

  1. 「新しい教育」にチャレンジ。まずは自分を変えていく!:中山 …

  2. 映像を通して「この町に住みたい!」という人を増やしたい:中山…

  3. 何かが変わる瞬間に立会いたい。大学生が見つけた好きなこと:鈴…

  4. 安心・安全な場を創り出す!コミュニティ活性化のスペシャリスト…

  5. 実体験を通して学んだ農家の面白さ。私は好きなことで稼ぐ:石川…

  6. 思い立ったら即行動。地域に役立つ人材に!:井上洋菜さん