ブランディング・デザイナー:増田悠太朗さん

地域おこし協力隊の制度を利用し、10年100社1000人の雇用を目指す宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」。

新富町は、「世界一チャレンジしやすいまち」を目指す財団メンバーがチャレンジを止めないということはもちろん、移住者を含めた地元住民もチャレンジを繰り返すことで全国から注目される町の1つとなっている。

東京都町田市でフリーデザイナーとして活動していた増田悠太朗さんは、地域おこし協力隊制度を利用し、新富町に移住した1人。

なぜ東京から新富町に移住しようと決意したのか。
都心から地域に移住したことで見えたことや地域課題をどのように感じているのか増田さんに伺った。

もっと日本を見てみたい

—新富町に来たきっかけは何ですか?

増田:こゆ財団代表の齋藤さんとは、平成26年頃からブランディングなどの仕事をさせてもらっていたのですが、平成30年3月に声をかけてもらい、新富町に来ることになりました。

—昔から地域に移住したいという想いはあったのですか?

増田:そういうのはありませんでした。
今でも東京は好きだし(笑)

でも、仕事柄パソコンと電源とWi-fiがあればどこでもできる仕事なので、東京にこだわる必要もなかったのです。

それに、もっと日本中を見てみたいって思ってたので。

寛容な地域の温もり

—新富町に来た時、町の様子はどうでしたか?

増田:最初は何もない町という感覚でした。
財団設立当初に作らせてもらったロゴが商店街などに点在していたのですが、「他に何があるのかな?」って感じていました。

でも、朝市とかで町の人と関わっている時、

「あのロゴって増田さんが作ったんですね」

とか、気さくに声をかけてくれるんです。
みんな優しい人たちだなと素直に思いましたね。

話を聞くと、自衛隊の関係で小学校の時から毎年10人くらいの子供が入れ替わることもあって、小さい時からよそ者を受け入れる習慣が根付いていたのでしょう。

近いから生まれるスピード

—地域で働いて見える地域の良さって何だと思いますか?

増田:とにかく何をするでも近い。
事務所から職場もそうだし、人同士の距離もとても近いんです。

東京に住んでいる時は、住んでいた町田から都心に行くのに片道1時間くらいかかってたけど、こっちなら5分くらいでいろんな場所に行けますから。

—働いてみて意外だったことはありますか?

増田:良い意味で忙しいですね。
地域ってもっとのんびりしていると思ってて。

財団に限ったことかもしれないのですが、何をするでもスピード感はもちろんですが、コンセンサスを取らないといけないし。

あとは、役場とかいろんな場所に挨拶に行ったり、今回みたいなインタビューを受けたりとか。
まぁ、移住してきたばかりだからということもあるでしょうけどね。

生活の一部になっている遺産

—新富町でお気に入りの場所などありますか?

増田:ダントツで古墳ですね。
平成30年3月に新富町へ来た時、財団の高橋邦男さんに案内してもらい、新富町の茶畑や古墳、航空自衛隊や水沼神社などに行きました。

その際、新田原古墳群では古墳の間をしばらく歩く機会があったんです。

そこでは、一面に広がる畑や民家の中に、古墳が点在していました。ぼくの古墳に対するイメージは大阪の仁徳天皇陵みたいに、神々しくて厳重な体制で管理されているものでした。そのギャップがすごいカルチャーショックだったんです。

ぼくが子どもだったら、あの古墳に登って遊ぶと思うし、もしかしたら、畑仕事の時に古墳が邪魔になってるんじゃないかなって思うくらいです。

でも、きっと地元の人は古墳を無下にせず共存してきたからこそ、昔ながらの風景を維持できているのでしょうね。

—町内を見て回った感想を聞かせてください。

増田:やはり古墳は一番のお気に入りなんですが、ほかにも新富町にしかないものが多くあると感じました。

「ここにしかないもの」って、観光面でもフックになる部分だと思うんですが、今はまだエンターテイメントになっていない感じですね。
おそらくは見せ方の問題だと思っています。

移住したから磨けた精度

—移住してみて起こった変化はありますか?

増田:やっぱりデザインの精度が上がったことですかね。
実は過去に新富町やこゆ財団のロゴを作った時に、ボツになったものがあるんです。

理由は「この町に合わない」から。

だけど、こっちに来たらその理由に納得できて腑に落ちました。
確かに、あのロゴじゃダメだなって。

やっぱり来ないとダメですね。

—移住を検討している人に伝えたいことはありますか?

増田:やっぱり気軽に来た方が良いですよ。
移住って考えると重いかもしれませんが、引っ越しって思えば良いんです。

東京から2時間くらいかかりますけど、普段東京でそれくらいの通勤時間をかけているサラリーマンもいると思います。

だったらもっと気軽に来ちゃえば良いのに。

今の暮らしや収入、キャリアを捨てることに不安や恐怖心があるかもしれませんが、今は世界中とネットで繋がれますし、どこでも仕事をすることができると思いますしね。

外に向けて発信する力

—デザイナーの目線で新富町に必要な人材はどのような人だと思いますか?

増田:まだ移住してから間もないですが、とにかくネットに強い人じゃないですかね。
外に発信するためには、収益性を高めるものなどトリッキーなサイト作りが必要になってきます。

ぼくもコーディングをすることはできても、そのあたりは専門じゃないので、コーディングのプロがいるとさらに精度を上げることができると思います。

—今後、どのようなことに力を入れたいですか?

増田:まずは特産品のライチを1億売ること。
商品名も変えて、新しくブランディングするために農家さんとも交流しています。

この前は、ライチ農家さんと一緒にお酒を飲む機会があって、ぼくも農家さんのことが大好きになりました。めっちゃ良い人で。

こゆ財団の考え方と地域の考え方にはまだまだ温度差があるので、もっと地域の方と積極的に交流していき、温度差を埋めていきたいです。

また一緒に飲みにいきたいなー(笑)

関係人口だけでなく、実際に移住する人が増え続けている宮崎県新富町。
働く場所や時間にとらわれず、チャレンジしたいことを実現できる町の一つだ。

今の生活を捨てるなど重く考えずに、引っ越しをする感覚で来てみると自分の中で何かが変わるきっかけになるかもしれない。

まずは増田さんのように気軽な気持ちで来てもらうことからチャレンジしてもらいたい。

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