今回は「教育」をテーマとし、東京学芸大学大学院の准教授である小宮山利恵子さん、片づけコンサルタント近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」プロデューサーである川原卓巳さんを迎えての対談となりました。
■開催日:2020年8月26日(水)
■対談テーマ:ここがヘンだよ! 日本の教育! ガチ大激論バトルトーク!
■オンライン動画はコチラから
■ゲスト:小宮山利恵子氏(東京学芸大学大学院 准教授)、川原卓巳氏(こんまりメソッド仕掛け人 KonMari Media Inc.CEO)
■モデレーター:齋藤潤一(こゆ財団 代表理事)、高橋邦男(こゆ財団 執行理事)
学びの現場で子どもの出したアイデアが商品化される
こゆ財団は、新富町から「世界一チャレンジしやすい町を作る」というヴィジョンを掲げ、新事業の創出のために企業との連携も推進してまいりました。
その中の1つに、全日本空輸株式会社(ANAホールディングス株式会社)と共催した、実践型教育プログラム「イノ旅」があります。
これは、東京の高校生を新富町に招いて、地元の高校生と共に地域の様々な現場を学び、新しい事業のアイデアを出していくというものです。
そして、このプログラムを通じ子どもたちから「勉強がはかどるお茶」というアイデアが出され、地域のお茶園さんから商品化が実現しました。
このような事例をもとに、今回のテーマでもある「教育」を通して地域の可能性を探り、より良い教育とは何か、皆さんと一緒に考えを深める時間となりました。
学びとは新しいことを知る喜び
こゆ財団・高橋は、昨年6月に学校の先生や地域の方々の前で、小宮山さんが「そもそも新しいことを学ぶということが面白い」と話されたことを挙げました。
日本の教育現場は、大人が懐かしいと感じるものが多いように思えるという感想を述べ、変わらないものには良い面もあるのだろうと感じる一方で、やはり違和感があると話しました。
なぜ、学校では変わらないものが多いのでしょうか。
高橋の疑問を受け、小宮山さんは
「昔の学校には、家庭にはないものが置かれていました。でも、今は(学校と比べて)家庭の方が最新のものを置いています」
と話してくださいました。
日本は基礎学力が高いのだから、わざわざ新しい道具を取り入れなくても良いという意見がまだ多くあり、新しいものを取り入れることが難しくなってしまったと続けます。
「しかし、海外に目を向けると、どんどん教育現場に新しいテクノロジーが入ってきています。今の日本の子どもたちが大人になり、新しい教育を受けてきた人たちと同じスタートラインに立てないというのは、やはりデメリットがあると考えています」
良いコンテンツはそのままに、新しいデバイスを取り入れていけば、子どもたちの潜在能力や関心をもっと引き出せるのではないかと、小宮山さんは話してくださいました。
先生は生徒のプロデューサー
川原さんが、アメリカの教育現場の今を話します。
コロナの影響もあって、川原さんの子どもが通う学校ではオンラインでの授業を行っています。不足してしまう部分は、別途用意したテキストを事前に配布をしており、先生の創意工夫や自由裁量が大きいそうです。
こゆ財団・齋藤は、日本の教育現場では先生の自由裁量が少ないと話し、スタンフォード大学やバブソンカレッジなど海外のビジネススクールでの経験を挙げました。
そこでの先生は生徒の動きを見て、生徒に合わせて授業の内容を変更し導いていく「プロデューサー」だと述べます。
小宮山さんは、将来的に1人に対して1台のデバイスが整備されれば、生徒一人ひとりの習熟度に合わせた学習が可能になってくるだろうと続けます。
その時に求められる先生とは、教え方が上手いではなく、生徒と一緒に何かを作り上げられる、一緒に何かを面白がれる、「学びあいの精神」を持っていることではないかと話してくださいました。
学びの場は学校だけ?そこが「ヘン」!
「教育」と聞いた時、私たちはつい小学校や大学といった「学校」を思い浮かべてしまいます。
しかし、人生100年時代といわれている昨今、学校を卒業した後も、学びは生涯続いていくのです。
人を「教え育む」学びの場は、もはや学校のものだけではありません。こゆ財団とANAが開催した「イノ旅」が示したように、選択肢は豊富です。
私たちは失敗を恐れがちですが、失敗した時にこそ人は大きく成長します。成長の種は「失敗」にあります。
失敗をした時に、どうやって次に繋いでいくか。
その時に「学びあいの精神」を持ったプロデューサーとなるのは、自分の親や周囲の人、地域の人たちであり、そして私たちもまた、誰かにとってのプロデューサーとなり得るのです。
本当に世の中を良くしたいと思う時、本質的な鍵となるのは「教育」です。しかし、次世代に残していくためには、圧倒的な時間がかかります。
自分がどうありたいか、深く考えさせられる対談となりました。