地方創生に求められる人材とは? “地方と都市をつなげる”麻生流新規事業のつくりかた

■開催日:2020年8月17日(月)
■オンライン動画コチラから
■ゲスト講師:麻生要一氏(News Picks 執行役員)
■モデレーター:齋藤潤一(こゆ財団 代表理事)、高橋邦男(こゆ財団 執行理事)

今回は「都市と地方をつなぐ、新規事業のつくりかた」をテーマとし、News Picks 執行役員である麻生要一さんを迎えての対談となりました。
地方で事業をつくるにはどうしたら良いのか? その方法を深く掘り下げたお話を伺いました。

地域で得られた利益を人材育成に投資する

こゆ財団は、新富町から「世界一チャレンジしやすいまちをつくる」というヴィジョンを掲げています。
新富町では20年前からライチの栽培をしていましたが、なかなか認知度があがらず、うまく利益を生み出すことができませんでした。
しかし、こゆ財団と地域で連携をとってブランド化し、1粒1,000円ライチとしてプロデュースをした結果、売上が伸びていったのです。
そしてその利益を、東京で主催している人材育成塾等に投資しています。

今まで58名の方が受講され、その内4名が、この育成塾を通して新富町への移住を決意されました。

その方たちは新しく農業をしたり、飲食店を開いたりと新富町で活躍をしており、“世界一チャレンジしやすいまち”を体現されています。

こういったこゆ財団の活動を通して、他にも様々な企業から「私たちとも新しい事業を一緒につくりましょう」と声がかかるようになりました。

それでは、新しい事業をつくるためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。

今回は、こゆ財団が産声をあげた2017年4月に、ゲスト第一号としてお越しいただいた麻生さんから「“地方と都市をつなげる”麻生流新規事業のつくりかた」についてお話しいただきました。

地方と都市をつなぐキーワードは「課題の粒度」

麻生さんは現在、高知県で地方創生をテーマとしたオープンイノベーションプラットフォームという事業を立ち上げている最中です。
県内のあらゆる現場に足を運び、悩みをヒアリングして、県内だけでは解決できない課題について精査をしています。

そしてその課題を解決するために、主に都市部の大企業やスタートアップ企業が持つ技術とつなぎ、更に事業化するために補助金をつけるということを行っています。
地域の課題と都市部が持っている技術をかけ合わせれば、全く新しい価値の創造ができるのではないかと考え、日々取り組んでいるそうです。

麻生さんは、顧客の課題起点に立たないと事業はつくれないと話します。

そして、課題解決に取り組んでいく中で、課題には「粒度」があることに気付いたというのです。

「地域の課題とは何だろう」と考えた時、まず大きなものが思い浮かびます。
例えば「少子高齢化」や「生産年齢人口をどうやって増やしていくか」「増加する空き家問題をどうするか」などです。

そして、これらの課題を都市部の力でなんとかできないのか、と考えてしまいがちですが、「この大きさのままでは解決できない」と麻生さんは話しました。

都市部が持っている技術にも、できることには限りがあります。
「課題を見つけたら、まずはその課題を“分解”していくこと」
大きい粒度を小さくしていくことで、解決のための都市部の技術とマッチングする可能性が高まっていくそうです。

地方と都市をつないでいくには、今後こういったことが重要なのではないかと麻生さんは話してくださいました。

新規事業は自分を応援してくれる環境でやろう

これまでのお話を伺い、こゆ財団・齋藤は「新規事業をしようとした時、失敗を恐れてしまうあまり、なかなか動けない人が多い」と話し、麻生さんはどう考えているのか尋ねました。

麻生さんは、新規事業とはそもそも「千三つ(せんみつ・・・1000件のうち3件というくらい非常に成功率が低いこと)」であると前置きした上で、失敗を深刻なものと捉えてしまいがちだが、甲子園のようなものだと考えて欲しいと答えました。

甲子園には数多くのチームが参加しますが、優勝するのはそのうちのたった1チームです。
でも、優勝できないからといって、それを失敗という人はいないでしょう。

しかしその一方で、失敗をした時に否定ばかりしてくる人が周囲に多い環境では、とても難しいとも話してくださいました。

「新規事業をする場合は、新しいことへの許容や礼賛が必要であり、そういった環境に身を置くのが良い」

続けるモチベーションを維持するためにも、自分がやろうとしているビジネスの世界観を支持してくれる「応援団」をつくることも大切です。
日本には閉鎖的な地域がまだ多いものの、チャレンジを応援してくれる地域も徐々に増えています。
そういった意味では、新富町はまさに適切な地域であると麻生さんはおっしゃってくださいました。

こゆ財団としても、一緒にがんばっていける仲間を増やしていきたいと日々考えています。
高橋は、どうしたらそういった人材を見つけられるのか、と尋ねました。

麻生さんは、これまで全く動かなかった人が、ある瞬間ものすごい勢いで動き出す、覚醒とも言える瞬間をこれまで何度も見てきました。

「老若男女問わず、誰にでも覚醒する可能性があると信じている」

きっかけがあれば目の前の人も変わるかもしれない。麻生さんは、そういう気持ちで一緒に仕事をしたり、人材育成プログラムを組んでいるそうです。

誰にでも覚醒する可能性がある

麻生さんの力強い言葉を受け、こゆ財団も大きな勇気を頂きました。

地方創生に求められる人材とはなにか。
今後の人材育成についても、深いヒントをいただけた対談となりました。

関連記事

  1. 現状や課題の見える化、学び合いの場を創出。これからの教育を考…

  2. より良い人生を送るため、どのように「仕事」と向き合っていくか…

  3. 思いっきり挑戦できるのが地域。地域のやる気に火を点けろ!

  4. 「生徒」を主語に学ぶ意欲を喚起。社会へ続く学びを支えよう〜『…

  5. やりたいことは「世界の創造性のレベルを1つあげる」こと。 デ…

  6. 知れば知るほど、見える世界は変わる! 先生が挑戦し続けること…