わが町を知り、町のキーパーソンから学ぶ。小中学校の「ふるさと学習」充実へ、“よのなか先生プロジェクト”始動の1年

2021年2月22日(月)午後、新富町立富田小学校で6年生による「新富町の未来を提案する会」が開かれました。こゆ財団教育イノベーション推進専門官・中山とスタッフ2名は発表が行われる教室へ伺い、子どもたちが学び考えた提案内容を見学させていただきました。
コロナ禍の2020年度、私たちこゆ財団が取り組んだ“よのなか先生”事業。その途中経過として、子どもたちにどんなことが響いたのか、また今後何が必要なのかを考える良い機会となりました。
これを機に、1年間の活動を振り返ってみたいと思います。

ふるさと・新富は人財の宝庫!

野菜、お茶、アカウミガメ、神楽など、宮崎県新富町には伝承や産業、自然など多岐にわたる魅力があります。そんな町の魅力を守り支えている、または一から生み出した町のキーパーソンが必ずいます。例えば…

・発酵のプロ
・そば打ち名人
・希少な国産ライチの生産農家
・農業とテクノロジーを融合させるアグリテック農家


▲町のキーパーソンの一人、キムラ漬物工業の木村昭彦社長は漬物づくりの達人であり、発酵食のプロ

など、実に多様なキャリアを持つ大人たちは、子どもたちにとっても好奇心をくすぐられる存在。こんな素晴らしい教材が身近にいるのに、学ばない手はない!

こゆ財団は、こう考えます。

町の魅力や人財を知って探究することで、子どもたちのふるさと学習やキャリア教育につなげてもらいたい。私たちが情報を可視化し提供することで、多忙な先生方の手間を省きつつもっと深い問いや質の高い教育を生み出せるのではないか。

まずは学校と地域がつながるきっかけを作るべく、こゆ財団は2020年、通称“よのなか先生”事業(=町の人材バンク事業)に取り組みました。

【2020年8〜9月】
子どもたちの質問で人財取材を代行
情報の蓄積・活用の形を模索中

本来は学校に“よのなか先生”となる人財を連れて行き、直接交流をしてもらいたかったのですが、コロナ禍で代替策に切り替えました。

誰に、どんなことを聞きたいか? 子どもたちの要望をまとめて学校からいただき、こゆ財団が取材を代行して記事にまとめました。その内容を同校の子どもたちと共有し活用してもらうと同時に、一旦こゆ財団が管理するサイト「しんとみワーク」で公開することに。この情報を元に、次年度以降の子どもたちがさらに深掘りした内容を集め、書き加えていくことで、「いつでも誰でも閲覧できる」だけでなく「情報の蓄積」もできます。

「作って終わり、でなく、その後の周知と活用が課題」と担当の中山。のちの管理も含め、持続可能な形にするにはどうするべきか、次年度へ向けた課題も生まれているところです。

↓公開しているサイトはこちら
<しんとみワーク>https://shintomi.work/

【10月8日】
“よのなか先生”からの回答を活用し
新富の紹介パンフレットを作成する子どもたち

子どもたちはというと、こゆ財団が取材してまとめた資料を活用しながら、新富町を紹介するパンフレットを作成。これを活用して、県南の日南市飫肥で、観光客や市民に新富町のPRをしたそうです。
「人に伝える」という活動を通して、自分たちの住む新富町の魅力を再発見し、さらにいろんな興味も湧いてきたのではないでしょうか。自分の中に生まれた問いをさらに探究していってほしいものです。

【12月8日】
Iターン移住者から聞く「新富町の魅力」
そうなんだ!と新鮮な気づきがいっぱい

12月初旬、こゆ財団に在籍する他県からの移住者3人と一緒に富田小学校6年生のもとへ。移住者から見た新富町の印象や良いところを率直に話してもらいました。
「野菜が新鮮でおいしくて安い!」
「初めて新富町に来た日に、小学生があいさつをしてくれた」
「誇りをもって仕事をしている大人がたくさんいて刺激になる」

▲子どもたちに新富の魅力について話す、Iターン移住者のこゆ財団スタッフ

子どもたちからは「新しい良さが知れてよかった」との声が聞かれました。誰しも足りないことに目がいきがちですが、そんな子どもたちに新たな視点を与えられたのではないでしょうか。

↓その様子はこちらの記事からご覧ください

▲富田小体育館にてファシリテーションするこゆ財団・中山

【2021年2月22日】
富田小6年生 1年間の総まとめ「新富町の未来を提案する会」


子どもたちのたくさんの質問からスタートした、ふるさと学習(学校側)とよのなか先生事業(こゆ財団側)。

年が明け2021年2月の初旬、富田小学校6年生の先生から中山宛に届いた一通のメール。
「2月22日は『新富町の未来を提案する会』。子どもたちが発表する姿を見ていただきたい」
うれしいお誘いに、中山他スタッフ2名で伺いました。

三密を避けるため会場を5つの教室に分け、グループ発表。
「共生社会を実現するため新施設をつくりたい」
「観音山・富田浜入江にアスレチックをつくり外から人を集めたい」
「町を紹介する動画をつくり町に来る人を増やしたい」

なぜ必要か? どんな効果が見込めるか? 子どもらしく斬新でありながらも建設的な提案にまとめ、全員が協力して発表する姿が見られました。発表を聞く子どもたちはもちろん、参観に来校していた保護者からも質問が上がり、各教室で活気を帯びたやりとりが見られました。

うれしかったのは、子どもたちの言葉の端々に、この1年関わらせていただいた足跡が感じられたこと。それと同時に、「もっと子どもたちが自分ごとにするにはどんな働きかけが必要だろうか?」など、中山のなかにさらなる問いも生まれてきました。

こゆ財団は、“よのなか先生”は単年度の事業ではなく、次年度以降も継続していける形でつくっていきたいと考えています。地域の人材と学校をつなぎ、子どもたちの学びを深めていける形を、チャレンジしながら模索し続けていきます。

*こゆ財団の“よのなか先生”事業は、令和2年度地方創生推進交付金「学び舎再生事業」の一環として行っています。

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